審美歯科(審美の基準)
口腔の審美性を左右する4項目の評価
歯科治療において審美性の回復、改善は機能回復と並んで欠かせない要素の一つである。特に前歯の歯科治療を行うにあたっては口腔の審美性を左右する以下の4項目の評価を理解しておく必要がある。
1. 顔の評価
水平要素としての①左右眉毛を結ぶ線、②瞳孔線、③口唇線がそれぞれ平行で、垂直要素としての①顔面正中で顔が2等分される。また、水平要素としての①ヘアライン、②左右の眉毛を結ぶ線、③鼻下点を通過する線、④オトガイ線、そしてこれらの線分間の垂直的距離は等しく、顔面を三等分していることが顔貌の調和の基準となる。さらにスマイルしたとき①顔面正中と②口角線や③前歯の切端を結んだ線は垂直に交わることが望ましい。

2. 唇と歯の関係
上唇線、歯肉線、切縁線、下唇線の四者と顔貌と関連する正中線との関係を診査する。これは、患者様の審美性に関する主訴の中で歯科医師が治療により改善できる可能性が高い関係であり美しいスマイルに最も重要である。

3. 歯列の評価
歯列を構成する審美的要素としては、歯冠ばかりでなく歯肉も重要で①歯と歯の間のスペースを埋める歯冠乳頭②歯肉縁の高さ③歯肉縁の頂点④歯肉の性状⑤歯肉の色調歯冠については①歯と歯の間の角度②歯と歯の接触点の高さと範囲③歯の切縁を結んだ線がなす形態などについて評価する。

4. 歯の評価
審美性のキーになる上顎中切歯の形態に関しては、歯冠幅径と長径の比率が75%以下であれば細長く見え、85%以上であれば幅広く短く見える。80%くらいが理想的であるとされている。

歯の形態には①四角形(square)、②三角形(tapering)、③卵円形(ovoid)、及びそれらの混合型がある。
